☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2003年8月

 

 

目次

Onepoint 借換保証制度

相続時精算課税制度Q&A

芸能人の源泉徴収

★税金一口メモ★ 登録免許税

ワンポイント 借換保証制度
 
中小企業の資金繰り円滑化のため、信用保証協会の保証付借入金を対象に、期間のより長い融資への借り換えや複数の保証付借入金の債務一本化を行い、月々の返済負担を軽減する制度が「借換保証(資金繰り円滑化借換保証)」です。制度がスタートした2月10日から約3ヶ月間に96,177件が保証を承認されています。


 相続時精算課税制度 Q&A

 相続時精算課税制度は、15年度税制改正の目玉として登場しましたが、その全容が明らかになるにつれて、いろいろな疑問や選択に慎重な意見が増えてきているようです。そこで質問多い項目についてQ&A方式でポイントを整理してみます。

 

T.年齢の判定時期

Q.
 
5人兄弟の末っ子である私は、今年の8月の誕生日で20歳なりました。
 20歳を機会に66歳の父から財産の贈与を受けましたが、新制度の適用を受けることができますか。

A.
 
新制度の適用対象となる贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)とされています。
 しかし、個々に年齢判定を行なうこととすると、厳密に贈与の事実のあった日を特定しなければならないことになり、確認作業が煩雑になるほか、同1年中に複数回贈与が行なわれた場合にこの特例の適用要件に該当するものと、そうでないものとが混在するケースも生じてしまいます。
 そこで、贈与税は1月1日から12月31日を一計算期間とする暦年課税の方法なので、その贈与のあった年の1月1日現在で年齢を判定することとされ、1月1日現在で65歳以上または20歳以上であることが要件となります。
 したがって、このケースにおいては、たとえ8月に20歳になったとしても、本年中の贈与は特例適用対象外となりますので、注意が必要です。

 

U.養子縁組についての適用

Q.
 
相続時精算課税制度は養子についても適用がありますか。

A.
 
養子縁組後に贈与した場合には、養子縁組後は通常の親子関係となりますので、養親から養子への贈与については、その養子の選択により相続時精算課税制度の適用があります。
 もちろん、養子縁組前に贈与した場合には、その時点では、親子関係がありませんから新制度による適用はありません。したがって年の途中で養子になった場合には、養子前は従来の基礎控除110万円の適用、養子後は新制度ということもありえます。
 また、養子は義父母からの贈与と実父母からの贈与についてそれぞれ相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
 具体的には、養子縁組後の贈与については、養親の年齢がその年の1月1日において65歳以上であり、養子の年齢もその年の1月1日において20歳以上の場合に新制度が適用されます。

 

V.住宅取得資金の贈与の特例

Q.
 
住宅取得等資金の贈与について五分五乗方式による税額の軽減措置を受けた子が、相続時精算課税制度の適用を受けることができますか。

A.
 
適用を受けることができます。ただし、平成15年1月1日以後に贈与により取得した住宅取得等資金について、従来の住宅取得資金の五分五乗方式による贈与の特例の適用を受けた人は、その贈与者からの贈与については、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年以後5年間は相続時精算課税制度の特例は選択できません。

 

W.小規模宅地等の減額の特例制度との関係

Q.
 
小規模宅地の減額の特例制度は、新制度による財産の贈与についても適用できますか。

A.
 
小規模宅地等についての減額特例制度は、被相続人または相続人と同一生計の親族が事業の用又は居住の用に供していた宅地等を相続人等が相続又は遺贈によって取得した場合に、相続税の課税価格の計算上、一定の面積まで評価減することにより、相続税の負担を減額するものです。
 これに対して新制度による生前贈与財産が居住用宅地等や事業用宅地等の場合には、その取得原因が贈与ですから、小規模宅地等については適用がありません。
 したがって節税効果の大きい小規模宅地等の評価減の適用を受けようとする土地については生前贈与の対象からはずすべきでしょう。
 なお、小規模宅地等の評価減は、被相続人又は被相続人と同一生計の親族のの事業用宅地等又は居住用宅地等について、一般の小規模宅地等については200uまで50%減額、特定居住用宅地等については240uまで80%減額、特定事業用宅地等については400uまで80%減額となっています。

 

X.受贈者が贈与者より先に死亡した場合

Q.
 
相続時精算課税制度の選択届出を行なっていた受贈者である子が親より先に死亡した場合において、この相続に際して新制度により取得した生前贈与財産はどう取り扱われるのですか。

A.
 
死亡したこの相続人(贈与者である親を除く)が権利・義務を引き継ぎ、贈与者の相続時に一体課税の適用を受け、税額を精算することになります。
 死亡したこの本来の遺産については通常の相続となりますので、区分する必要があります。

 

Y.養子縁組を解除した場合

Q.
 
相続時精算課税制度の適用を受けていた養親と養子がその後養子縁組を解消した場合には、税務上の取扱はどうなりますか。

A.
 
このような場合でも、相続により取得したものとみなして、精算することになります。なお、養子縁組を解消した養子には、相続税の二割加算の適用があるので注意が必要です。
 また、縁組を解消した養子が、相続税の申告に積極的に参加するとは考えにくいので、相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人等の贈与税の申告内容について、必要最小限の情報を相続人等の請求により税務署長から開示する制度が創設されています。

 

Z.その他

Q.
 
相続時精算課税制度のメリットは何ですか。

A.
 
相続税のかからないケースでは、早期に事実上の相続ができて生活にゆとりが生まれる可能性が高くなります。
 相続税課税のケースでは、譲与時と相続時の時価が変動していないと仮定した場合、税負担は同じで節税になりませんが、突然来る相続と違い計画的に生前贈与ができるため、子にもっとも必要なタイミングで財産移転できるメリットがあります。参考に暦年課税(単年度精算課税制度)とくらべると図表のようになります。

贈与税の課税方式(暦年課税と相続時精算課税)の比較

区分 暦年課税 相続時精算課税
(相続税・贈与税の一体化措置)
贈与者・受贈者 親族間のほか、第三者からの贈与を含む 65歳以上の親から20歳以上の子への贈与
→住宅取得資金の場合:親の年齢要件撤廃
選択 不用 必要(父母ごと、兄弟姉妹ごとに選択)
→一度選択すれば、相続時まで継続適用
課税時期 贈与時(その時点での時価で課税) 同左
控除 基礎控除(毎年):110万円 特別控除(限度額まで複数年使用可):2,500万円
→住宅取得資金の場合:3,500万円(1,000万円上乗せ)
税率 10%〜50%(6段階) 一律20%
相続時 なし 贈与財産を贈与時の時価で相続財産に合算
→相続税額を越えて納付した贈与税は還付

 



 芸能人の源泉徴収

 

 内国法人に対して、国内において芸能人の役務の提供に関する報酬または料金を支払う場合には、その支払者は主として演劇の公演等を行なうなど一定の要件に該当するとして税務署長から源泉徴収の免除証明書の交付を受けている内国法人に対して支払う時を除いて、その支払う報酬等の金額の10%相当額を源泉徴収しなければならないこととされていましたが、税制改正により平成15年4月1日以降に支払う報酬等から、源泉徴収をする必要がなくなりました。
 ただし、芸能人の役務の提供を内容とする事業を行なう個人に対して支払う報酬等については、これまでどおり源泉徴収(支払う報酬等の金額の10%相当額、ただし、同一人に対して一回の支払が100万円を超える場合には、その超える部分については、20%相当額)しなければならないこととされていますので注意する必要があります。

 

税金一口メモ
 登録免許税

 不動産の登記に関する登録免許税の税率が、税制改正により平成15年4月1日より引き下げられました。
 また平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間は、特例としてさらに税率が2分の1となっています。
 所有者の移転登記に関しては、その登記の原因によって登録免許税の税率が異なっています。遺贈・贈与の場合については、2.0%(特例として、1.0%ですが、相続の場合については0.4%(特例として0.2%)とされています。
 ただし、法定相続人が遺贈により所有権の移転の登記を受ける場合については、相続による所有権の移転の登記に係る税率を適用することとされています。

 

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