☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

[ ホーム ] [ 税務だより ] [ ザ☆経営 ] [ 業務内容 ] [ 連絡先・周辺地図 ]

2003年6月

 

 

目次

Onepoint たばこ税の引き上げ

消費税改正のポイント

出向・人材派遣の消費税

賞与に対する源泉徴収

★税金一口メモ★ 負担付贈与

ワンポイント たばこ税の引き上げ
 
禁煙の広がりのため、愛煙家の方々にとって最近は何かと肩身の狭い状況のようですが、本年7月からは、たばこ税の引き上げが行なわれます。引き上げ額は1本につき0.82円(国税、地方税それぞれ0.41円と同額の引き上げ)です。なお、地方税のうち4分の1が道府県の、4分の3が市町村の税収となります。


 消費税改正のポイント

 本年の税制改正で消費税法に大きな改正がありました。適用開始が平成16年4月のため、まだ注目度が低いようですが、今後影響が大きいので、以下ポイントを整理してみます。

 

T.免税事業者の判定基準の改正

1)概要

 現在、基準期間(2年前)の課税売上高が3千万円以下の事業者は、当期(年)の消費税の申告納付が免除されていますが、この基準が課税売上高1千万円以下に引き下げられます。

2)適用時期

 この改正は平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
 消費税の課税期間は法人については事業年度、個人については暦年が原則とされているので、法人は3月決算法人であれば基準期間である前々期は平成15年3月決算になりますから、この事業年度の課税売上が1千万円を超えていれば、消費税の申告納付義務があることになります。
 これに対して個人事業者の場合は、平成17年分から適用されることになります。基準期間は平成15年になりますので、平成15年1月1日から平成15年12月31日の課税売上高が1千万円を超えていれば、平成17年分の消費税の納付義務が生じます。また、事前に課税事業者届出書も、提出する必要があります。

3)影響

 この改正により、新たに約136万社(者)、現行免税事業者の約37%が課税事業者となるようです。

U.簡易課税の適用要件の改正

1)概要

 現在、基準期間の課税売上高が2億円以下の事業者については、課税売上高にみなし仕入率を乗じて消費税額を計算する簡易課税制度が認められていますが、この適用基準が基準期間の課税売上高5千万円以下に改正されます。

2)適用時期

 この改正もTと同様に平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用することとされています。
 法人の場合は、3月決算であれば平成15年3月期の課税売上高が5千万円を超えていれば、簡易課税の適用は受けられなくなります。
 個人の場合には、平成15年分の課税売上高が5千万円を超えていれば、平成17年分の消費税については簡易課税の適用は受けられません。

3)影響

 政府税制調査会の資料によると新たに56万社(者)、現行簡易課税適用事業者の約53%が一般課税対象の事業者となります。

V.中間申告納付

 直前の課税期間の年税額が4800万円(地方消費税と合わせて6000万円)を超えると事業者は、消費税の中間納付を毎月(改正前、3月ごと)行なわなければならいこととなります。
 納付すべき税額は原則として前年の確定税額の12分の1相当額です。
 この改正により中間申告納付の仕組みは図表1のようになります。
 なお、この改正は平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

図表1 中間申告納付制度(かっこの内は地方消費税込みの数字)

【改正前】 【改正後】
〈申告納付〉 〈年税額〉


年4回

〔確定申告1回〕
〔中間申告3回〕


400万円超

(500万円超)
4,800万円超
(6,000万円超)
年12回
〔確定申告1回〕
〔中間申告11回〕
4,800万円以下
400万円超

(6,000万円以下
500万円超)
年4回
〔確定申告1回〕
〔中間申告3回〕
年2回
〔確定申告1回〕
〔中間申告1回〕
400万円以下
48万円超

(500万円以下
60万円超)
400万円以下
48万円超

(500万円以下
60万円超)
年2回
〔確定申告1回〕
〔中間申告1回〕
年1回
〔確定申告1回〕
48万円以下
(60万円以下)
48万円以下
(60万円以下)
年1回
〔確定申告1回〕

 

W.消費税等の総額表示

1)概要

 平成16年4月1日から、消費者に対して商品の販売等を行なう場合の取引価格表示には、消費税等を含めた金額の表示(総額表示)義務付けられます。

2)表示方法

 表示方法としては次のようなものが考えられます。

 @ 10,500円
 A 10,500円(税込)
 B 10,500円(本体価格10,000円)
 C 10,500円(うち税500円)
 D 10,500円(本体価格10,000円、税500円)
 E 10,000円(税込10,500円)
 

 


出向・人材派遣の消費税

 

Q.
 
当社では、出向社員の給与負担金や人材派遣会社への支払がありますが、これらは消費税の仕入税額控除の対象となるのでしょうか。

 

A.
 事業者が事業として他の者から役務の提供を受けた場合は、消費税の課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象となりますが、その役務の提供が雇用契約に基づくものであり、その支払った対価が給与所得となる場合には、課税しいれには該当しません。
 通常の給与の場合には、判断に迷うことはありませんが、出向者の負担金を支払ったり、人材派遣会社に支払った場合には、消費税の課税関係について、注意する必要があります。

1.出向の場合

 事業者が使用人を子会社や関連会社などに出向させた場合、出向者に対する給与の負担には次のような方法があります。

@ 出向元が給与の全額を支払い、その一部を出向先に請求する方法
A 出向先が給与の全額を支払い、その一部を出向元に請求する方法
B 出向元と出向先がそれぞれ給与の一部を支払う方法

いずれの方法をとる場合であっても、給与負担金については、消費税の課税関係は生じませんので、たとえ給与負担金を支払っても仕入税額控除の対象とはなりません

2.人材派遣の場合

 人材派遣とは、通常、人材派遣契約に基づいて派遣元(人材派遣会社)がその使用人を、派遣先である他の事業者に派遣することをいいます。この場合には、出向の場合とは異なり、その使用人との雇用関係は、人材派遣会社との間にしかなく、派遣先事業者との間にはありません。
 したがって、人材派遣は人材派遣会社の派遣先事業者に対する役務の提供ということになりますので、人材派遣会社が受け取る人材派遣の対価は消費税の課税の対象となり、支払った事業者については、課税仕入れとして仕入税額控除の対象となります。

 


賞与に対する源泉徴収

 

 賞与に対する源泉徴収税額の計算は、通常の場合には、まず前月の社会保険料等控除後の給与の額を、扶養親族の数に応じて「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて、賞与の金額に乗ずべき税率を求めます。次に賞与から社会保険料等を控除した額にその税率を乗じて源泉徴収税額を算出することになります。
 ただし、前月に給与を支払っていない場合には、賞与から社会保険料等を控除した額の6分の1の金額を月額表(毎月の給与の源泉徴収額を求める表)に当てはめて税額を求めます。
 そして、その金額を6倍した額が、賞与に対する源泉徴収額となります。
 なお、賞与の計算期間が半年を超える場合には、「6分の1」ではなく「12分の1」として、「6倍」ではなく「12倍」として同様の方法によって計算することになっています。

 

税金一口メモ
 負担付譲与

 負担付贈与(第三者に対して債務を支払うことを条件とした財産の贈与)が行なわれた場合の贈与税については、贈与財産の価額からその負担額を控除した価額が課税対象となります。
 この場合の課税価格は、贈与された財産の種類によって、算定方法が異なります。
 贈与された財産が土地や借地権、家屋や構築物などであるときには、その贈与が行なわれたときにおおける時価(通常の取引価額に相当する金額)から負担することとなる債務額を控除した価額によることになります。
 また、贈与された財産が土地等や家屋等以外のものである場合には、その財産の相続税評価額から負担することとなる債務額を控除した価額となります。

 

HOME

MAIL