☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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金融機関との付き合い 二期連続の赤字は危険

 

 金融機関が企業に対して融資を行う場合、元金の返済はできるのだろうか、と審査するのは当然のことです。その判断基準について検討したいと思います。

【元金の返済】

 企業の元金返済の原資は、税引後利益と減価償却費です。減価償却費は費用として計上されるものの、実際には出金されておらず手元に残っているお金と考えられます。また、税引後利益は事業活動で生み出されたお金です。
さて、金融機関の判断では、企業の税引後利益(A)プラス減価償却費(B)が設備手形・月賦(C)プラス返済元金(D)と比べて多いか少ないかは重要な点です。
(A+B)の金額が多く、(C+D)の金額が小さいほど、返済能力のある企業と判断します。

企業の税引後利益(A)
減価償却費(B)
設備手形・月賦(C)
返済元金(D)

【赤字が続くと借入は雪だるま式に増える】

通常、企業は収益がある場合、税引後利益の他に減価償却費も計上します。
元金の返済は「収益」で弁済するというのが原則ですから、このことからも金融機関との付き合いは、企業が利益体質(黒字体質)の状態であることが大切になります。
残念ながら、赤字である企業の場合はどうでしようか。
(C+D)の金額が(A+B)の金額を上回ります。この状態のとき、企業は金融機関の借入で資金繰りをつけることになります。
3年間、赤字が続く状態を考えてみましよう。1年目、当初の借入が3,000万円ありました。この借入は5年で返済する約束でしたが、赤字のため、赤字分500万円と返済分600万円の計1,100万円の新たな借入で賄うことにしました。
2年目、1年目と同様500万円の赤字とします。資金繰りをつけるため、新たに1,320万円の借入が必要でした。
3年目の説明は省略しますが、3年間で新たに4,004万円を借入した上に、このまま4年目を迎えると借入金額は5,584万円、返済元金は1,401万円になります。
金融機関は、二期連続赤字の企業に対しては回収の一途で臨むという姿勢を、ご理解いただけるのではないでしょうか。

 

 解  説

モデルとした企業は3年間毎期赤字が500万円が続いています。
また、赤字なので減価償却することも出来ていません。
当然ながら資金をやりくりする借入の発生はあっても、設備投資の借入等は発生していません。
つまり、上記でいう 『A』 と 『D』 しか発生していない状態です。

【1年目】

損  益(A) ▲500万円
借入額残高 3000万円  5年返済
返済元金(D) 600万円  (年額)
資金不足額 1100万円  (損益500万円 + 返済元金600万円)
この資金不足額を補充するために新たな借入の必要がある
新規借入額 1100万円  5年返済
返済元金(年額) 220万円  

【2年目】

損  益 ▲500万円
借入額残高 3500万円  (3000万円 − 600万円 + 1100万円)
返済元金 820万円  (600万円 + 220万円)
資金不足額 1320万円  (損益500万円 + 返済元金820万円)
この資金不足額を補充するために新たな借入の必要がある
新規借入額 1320万円  5年返済
返済元金(年額) 264万円  

【3年目】

損  益 ▲500万円
借入額残高 4000万円  (3500万円 − 820万円 + 1320万円)
返済元金 1084万円  (600万円 + 220万円 + 264万円)
資金不足額 1584万円  (損益500万円 + 返済元金1084万円)
この資金不足額を補充するために新たな借入の必要がある
新規借入額 1584万円  5年返済
返済元金(年額) 317万円  

 

 


 

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