☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2003年11月

 

 

目次

Onepoint 自動車重量税還付制度

保険と税金Q&A

社員旅行に対する課税

使途秘匿金

★税金一口メモ★ 印紙税の過怠税

ワンポイント 自動車重量税還付制度
 
自動車重量税では、車検の際に自動車の重量に応じて,自家用乗用車の場合、車検3年のものは0.5トンごと1万8,900円、車検2年のものは0.5トンごと1万2,600円を課税しますが、使用済自動車のリサイクルの実施に伴い、車検の残存期間に応じて自動車重量税を還付する制度が、平成17年1月からスタートします。


 保険と税金 Q&A

 保険には、死亡保証目的、様々なリスク保証目的、節税目的等があるため、取扱も複雑です。そこで、保険と税金との関係で質問の多い点をQ&A方式で整理してみます。

 

T.保険の損金性

Q.
 
会社契約で生命保険に加入する予定です。被保険者は社長(50歳)で、保険期間を80歳までとした場合、全額損金となりますか。

A.
 
質問のケースでは、保険期間満了時の被保険者の年齢は80歳であり、70歳を超えています。このような場合には、『長期平準定期保険』の可能性を考える必要があります。
 長期平準定期保険とは、定期保険のうち、特に保険期間が長いものをいい、具体的には、保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、加入時の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものは、税務上、長期平準定期保険として取り扱われます。
 長期平準定期保険の税務処理は、保険期間の前半の6割の期間は、支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、残りの2分の1は損金に算入します。後半の4割の期間は、保険料全額を損金に算入するとともに、前半6割の期間で資産計上した前払い保険料をその期間に応じて取り崩して損金に算入しますので、前半6割と後半4割では、損金算入可能額が大きく変わります。
 この仕組みの趣旨は、図表1のように、本来の死亡率から想定される自然保険料と平準保険料の差額は保険料の前払いであり、長期平準定期保険の場合、保険期間の中途で解約したときに多額の解約返戻金を受け取るケースがあるのを無視できないことによるようです。
 質問のケースの判定と処理は図表2のように、結果は図表3のようになります。

図表1

図表2

1.判定
  @80歳>70歳
  A50+(80-50)×2=110>105
    ※長期平準定期保険に当たる。

2.年払保険料が200万円とした場合の処理
  (1)保険期間の前半6割の期間(18年間)の処理
     保険料の2分の1を保険料、残りを前払保険料として次の仕訳を行ないます。

借方 貸方
支払保険料
前払保険料
100万円
100万円
現金・預金
200万円


  (2)保険期間の後半4割の期間(12年間)の処理
     保険料の金額と、それまで前払保険料としてきた金額(100万円×18年=1,800万円)を残りの期間で均等に按分(1,800万円÷12=150万円)して取り崩して損金に算入します。仕訳で示すと次のようになります。

借方 貸方
支払保険料
350万円
現金 ・ 預金
前払保険料
200万円
150万円

図表3 

U.生命保険契約に関する権利の評価

Q.
 
生命保険契約に関する評価方法が変更されたそうですが、具体的にどう変わったのですか。

A.
 
生命保険契約に関する権利の評価の経過措置を講じたうえ廃止し、解約返戻金の額を用いて評価することになります。
(1)従来の取扱い
 生命保険契約でその契約に関する権利を取得したときに保険事故が発生していないものに関する権利の価額は、相続税法において、下の算式で評価するものとされていました。
 ただし、保険料を一時払いした場合には、払込保険料の全額で評価されます。算式によれば、例えば解約返戻金が支払い保険料の合計とわかっていても評価額は70%以下になり、不合理に税負担が軽くなるということで改正されたようです。
(2)経過措置
 実務上の慣行もあるため、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの3年間に相続または遺贈により取得した生命保険契約に関する権利については、引き続き従来の取扱を認めています。

 

V.損害保険料控除

Q.
 
所得税の計算において保険期間が10年以上ある損害保険があるので、長期損害保険として処理したら訂正させられました。なぜですか。

A.
 
損害保険料控除として所得控除の対象となる金額は、次の図表4のとおりです。
 特に、長期損害保険は、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金のある損害保険契約であるという条件があり、間違いやすいので注してください。

図表4 所得税の損害保険料控除

@.保険期間が10年以上で満期返戻金のある損害保険契約(長期損害保険)

1年間に支払った損害保険料の金額 損害保険料控除額
10,000円以下

支払保険料の全額

10,000円超 20,000円以下 (支払保険料×1/2)+5,000円
20,000円超 一律15,000円

A.その他の損害保険契約(短期損害保険)

1年間に支払った損害保険料の金額 損害保険料控除額
2,000円以下

支払保険料の全額

2,000円超 4,000円以下 (支払保険料×1/2)+1,000円
4,000円超 一律3,000円

B.@とAの両方の契約がある場合
  
長期損害保険について@により計算した金額と短期損害保険についてAにより計算した金額の合計額となりますが、限度額は15,000円になります。

 



 社員旅行に対する課税

 

Q.
 
当社では、創立10周年に当り、社員旅行を計画しています。海外旅行をも含めて検討していますが、社員旅行を実施した場合、参加した社員に対する給与になることがあると聞きましたが、税務上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.
 
会社が福利厚生施策の一環として、社員旅行を実施した場合、会社の負担額が旅行に参加した社員に対する給与として課税される場合がありますので注意する必要があります。
 社員のレクリエーション旅行の場合には、その旅行によって社員に供与される経済的利益の額が小額であって、小額の現物給与は強いて課税しないという小額不追及の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれの要件も満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。
@ 旅行の期間が4泊5日以内であること。なお、海外旅行の場合は、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。

A 旅行に参加した人数が会社全体の人数の半分以上であること。なお、工場や支店ごとに行なう旅行の場合には、それぞれの職場ごとの人数の半分以上が参加すること。

 ただし、役員だけで行なう旅行や実質的に私的旅行と認められる旅行などについては、そもそもここにいう社員のレクリエーション旅行に該当しないため、給与として課税されることになります。
 また、社員旅行への任意の不参加者に対して、その旅行への参加に代えて金銭を支給する場合には、旅行の参加者、不参加者ともに、その支給を受ける金銭に相当する額の給与の支払があったものとして課税されることになりますので、注意する必要があります。


 使途秘匿金

 

 法人が使途秘匿金を支出した場合には、法人税額は、柱状の法人税の額に、使途秘匿金の支出の額の40%相当額を加算した金額とすることとされています。
 使途秘匿金の支出とは、法人がした金銭の支出のうち、その相手方の氏名または名称及び住所又は所在地並びにその事由をその法人の帳簿書類に記載していないものをいいます。ただし、相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるものや、資産の譲受けその他の取引の対価として支出されたもの(取引の価値として相当であると認められるものに限る)であることが明らかなものについては、使途秘匿金に含まれないこととされています。
 また、税務署長は、相手方の氏名等を帳簿書類に記載していない支出がある場合においても、その記載していないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認められるときは、使途秘匿金に含めないことができることとされています。

 

税金一口メモ
 印紙税の過怠税

 印紙税の課税文書を作成した場合には、印紙税の納付が必要となりますが、印紙税の納付は、通常は作成した課税文書に印紙を貼付し、消印することによって行ないます。
 課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成のときまでに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。ただし、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは、過怠税の額は、その納付しなかった印紙税の額の1.1倍となります。
 また、貼付した印紙を所定の方法によって消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。

 

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