■住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例措置の改正点--22年7月号 -2010年6月2日 |
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7月の税務と労務
国 税/6月分源泉所得税の納付 7月12日
国 税/納期の特例を受けた源泉所得税
( 1月〜6月分 ) の納付 7月12日
国 税/所得税予定納税額の減額承認申請 7月15日
国 税/所得税予定納税額第1期分の納付 8月 2日
国 税/5月決算法人の確定申告 ( 法人税 ・ 消費税
等 ) 、11月決算法人の中間申告 8月 2日
国 税/8月、11月、2月決算法人の消費税
の中間申告 ( 年3回の場合 ) 8月 2日
地方税/固定資産税 ( 都市計画税 ) 第2期分の納付
市町村の条例で定める日
労 務/社会保険の報酬月額算定基礎届 7月12日
労 務/労働保険料 ( 概算 ・ 確定 ) 申告書の提出
( 全期 ・ 1期分 ) の納付 7月12日
労 務/障害者・高齢者雇用状況報告 7月15日
労 務/労働者死傷病報告 ( 4月〜6月分 )
8月 2日
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〜 ワンポイント 〜 租特透明化法の 「 適用額明細書 」
企業の税負担を軽減させる特別償却や税額控除など、租税特別措置の適用実態を明らかに
するため、平成22年度税制改正で、租税特別措置の適用を受ける企業に対して提出が義務
付けられることになった書類。平成23年4月1日以後に終了する事業年度の法人税の申告から
適用されます。
平成22年度税制改正における
住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例措置の改正点
平成22年度税制改正では、住宅取得等資金の贈与に関して2つの改正が行われています。
今回は、制度が改正されたことにより、今後の贈与がどのように変わるのかを以下、整理して
みます。
( 1 ) 住宅取得等資金贈与の非課税特例の拡充
@ 改正前
経済危機対策関係の税制(平成21年6月26日公布)において、生前贈与の促進
により高齢者の資産を活用した需要の創出を図るため、直系尊属から住宅取得等
資金の贈与を受けた場合で一定の要件を満たすときは、その期間を通じて500万円
まで贈与税を課さないこととされていました。また、この特例は、暦年課税又は相続時
精算課税の従来の非課税枠に併せて適用できます。
なお、この規定は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間の贈与に
より取得する住宅取得等資金について適用されます(図表1参照)。
図表1 直径尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合 ( 平成22年度税制改正前
)
区 分 , |
贈 与 税 の 非 課 税 枠 , |
通 常 の 場 合 |
経済危機対策による住宅特例 |
暦 年 課 税 |
基礎控除
110万円 |
基礎控除 非課税枠
110万円 + 500万円 = 610万円 |
相続時精算課税 |
特別控除 ※1
3,500万円 |
特別控除 ※1 非課税枠
3,500万円 + 500万円 = 4,000万円 |
※1 住宅特別控除1,000万円を含む
A 改正後
経済対策のための時限措置として、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた
場合の贈与税の非課税措置について、次のように改正されました。
ア 非課税限度額 ( 改正前500万円 ) が次のように引き上げられました。
( ア ) 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
( イ ) 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
イ 適用対象となる者が、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者
に限定されました。
ウ 適用期限が、平成23年12月31日 ( 改正前は平成22年12月31日 ) までの
贈与とされました。
なお、この改正は、平成22年1月1日以後の贈与により取得する住宅取得等
資金に係る贈与税について適用されます。
B 経過措置
ア 平成21年中の贈与によりすでに制度の適用を受けた者が22年にも贈与を受けた
ときには、1,500万円までの金額 ( 1,500万円から、すでに非課税の適用を
受けた金額を控除した残額 ) を非課税とする経過措置を設けています。
たとえば、21年に400万円を贈与により取得し非課税適用を受けていた場合、
改正前は22年に繰り越せる限度額は 『 500万円
ー 400万円 = 100万円 』
まででしたが、経過措置により、 『 1,500万円
ー 400万円 = 1,100万円 』
が、22年に繰り越せることになります。
イ 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、改正前の制度と
選択して適用できます。
つまり、合計所得金額が2,000万円超の者であっても、改正前の制度を選択
することにより、500万円までの贈与であれば非課税となります。
( 2 ) 相続時精算課税の住宅特例の廃止
住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、1,000万円の
特別控除の上乗せが廃止され、年齢要件の特例 ( 相続時精算課税制度の場合、贈与者
である親には65歳以上という年齢要件がありますが、同制度の特例の場合には年齢
制限がありません ) の適用期限が平成23年12月31日まで2年間延長されました。
慰安旅行、専属下請け参加の場合の取扱い
当社は製造業を営んでおり、当社の工場内では専属下請け先のA社が事業を行っています。
当社では全従業員を対象とした4泊5日の海外慰安旅行を計画していますが、その際にA社の
全従業員も参加させることを考えています。この海外慰安旅行に要する費用は当社が全額負担
しますが、この場合、A社の全従業員にかかる旅行費用は交際費に該当するのでしょうか。
得意先などの従業員に対して、取引の謝礼などとして、旅行等に招待する費用は、原則として
交際費として取り扱われます。
しかし、実体として自己の従業員と同様の事情にある、いわゆる専属下請け先の従業員の
慰安のため、運動会などに通常要する費用を負担した場合、その法人の負担額は業務委託費
などとし、交際費には該当しないものとして取り扱われます。
また、慰安旅行にかかる所得税法上の取り扱いでは、次に示す一定の要件を満たすもので
あれば、海外慰安旅行であっても、参加者である従業員の経済的利益には、原則として課税
しなくてもよいこととされています。
@ 期間が4泊5日(現地の滞在日数)以内
A 旅行に参加する役員又は従業員の数が全従業員数 (
工場 ・ 支店単位でもよい )
の50%以上
したがって、ご質問の海外旅行の場合、この一定の要件に該当するものであって、過大な
費用がかからないものであれば、専属下請け先の従業員のためのものであっても、貴社の
費用負担額は交際費などには該当せず、業務委託費などとして取り扱って差し支えないもの
と考えられます。
ゴルフコンペでのホールインワン達成記念品代
同業者団体などのゴルフコンペでのゴルフプレー費用について、その法人の業務の遂行上、
必要なものであると認められる場合には、交際費として取り扱うこととされています。
そのため、ホールインワン達成の記念品購入費用についても、交際費として認められるのでは
ないかと考えられがちです。
しかし、記念品を贈呈する行為は、ホールインワン達成者個人がその記念としてコンペ参加者
に対して行うものであり、その行為は、私的行為と考えられます。
したがって、会社が負担するホールインワン達成の記念品購入費用は、その達成者個人に
対する給与 ( 賞与 ) として取り扱われることになります。
死亡保険金 ・ 退職金は 「 みなし相続財産 」
相続や遺贈等で得た財産ではなくても、実質的に同じであれば、法律的には相続や遺贈等に
よって得た財産とみなして相続税が課せられる場合があります。これが
「 みなし相続財産 」 で、
死亡保険金や死亡退職金が代表的なものです。
死亡保険金は、被相続人の死亡によって受け取る保険金で、被相続人が保険料を負担して
いたものであり、法定相続人一人当たり500万円まで非課税扱いになります。
ただし、非課税限度額適用は受取人が相続人である場合に限られます。
死亡退職金は、被相続人の死亡で相続人等に支払われた退職金です。死亡退職金も法定
相続人一人当たり500万円まで非課税扱いになります。
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