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旅費交通費をめぐる税務--22年4月号 -2010年3月31日 
  4月の税務と労務
国 税/3月分源泉所得税の納付           4月12日
国 税/2月決算法人の確定申告
      ( 法人税 ・ 消費税等 )            4月30日
国 税/8月決算法人の中間申告           4月30日
国 税/5月、8月、11月決算法人の消費税の中間申告
      ( 年3回の場合 )               4月30日
地方税/給与支払報告に係る給与所得者異動届の提出
                                 4月15日

地方税/
固定資産税 ( 都市計画税 ) の第1期分の納付
              4月中において市町村の条例で定める日

地方税/
土地 ・ 家屋価格等縦覧帳簿の縦覧
                           4月1日〜4月20日
     または最初の納期限のいずれか遅い日以後の日まで

地方税/
軽自動車税の納付
             4月中において市町村の条例で定める日
労 務/労働者死傷病報告 ( 1月〜3月分 )    4月30日




   〜 ワンポイント 〜   サラ金並みの?延滞税
     国税の延滞税の税率は、法定納期限の翌日から@2か月を経過する日までは 「 年7.3% 」 と
   「 前年の11月30日の日銀が定める基準割引率+4% 」 のいずれか低い割合、A2か月経過後は
   年14.6%の2段階になっています。利息制限法の上限金利は、貸付額に応じて15〜20%ですので
   サラ金並みの高金利と言えます。



   
旅費交通費をめぐる税務
   
内容の確認が重要
     本来、宿泊を伴うような比較的遠隔地への出張費用を 「 旅費 」 、近距離の出張費用を 「 交通費 」
    といい、会社によっては両者を区分して経理することもありますが、一般には旅費交通費として一括で
    処理されています。
     この費用の処理は、注意すべき点が意外と多くあります。そこで、以下、旅費交通費を巡るポイント
    を整理します。

   
1.通勤手当の再確認
     通勤手当は、政策的配慮のもとに表1の非課税限度額を態様別に定めています。この限度額を超え
    て支給したものは、給与となるのでチェックが必要です。

   
2.目的により科目が異なる
     仮に、同じ地域への出張であったとしても、その目的により表2のように勘定科目が多岐にわたる
    ので、経理担当者は十分に出張の理由等を把握した上で、処理をする必要があります。
     例を挙げると、次のようなものがあります。

     ( 1 ) 交際費に当たるもの
       @ 同業者とゴルフをするための旅費
       A 得意先を接待するために送り迎えをしたタクシー代
       B 取引先の冠婚葬祭に出掛ける時の交通費、日当、宿泊代

     ( 2 ) 福利厚生費に当たるもの
         典型的なものとして、社員の慰安旅行があります。
         ただし、名目は社員旅行であっても、実質的には給与に該当するケースがありますので注意
        が必要です。国内旅行、国外旅行を問わず社員の給与にしないためには、その旅行が 「 会社
        の主催 」 であることを立証する必要があります。立証条件は次の2つです。

           @ 旅行参加者の割合が50%以上であること
           A 旅行の日程が4泊5日以内であること

         なお、勘定科目が間違ったとしても損金性が明らかであればあまり問題視されませんが、
        交際費とか給与になるものを旅費交通費にしておくと税務上のトラブルになります。表2で
        いうとA、D、Hが要注意です。
         交際費になれば資本金にもよりますが課税対象となり、給与は即、源泉所得税の問題が
        生じます。

 
  3.旅費規程の活用
     会社から給与の支給を受ける者が、業務上の必要から旅行をし、その旅行に必要な金品を支給
    された場合、それが通常必要と認められる範囲内のものであれば損金とされ、支給を受けた従業員
    は給与として課税されることはありません。
     通常必要と認められる範囲内のものかどうかは、旅行する従業員の会社における職務内容や
    地位、旅行の目的、出張先への行路等によって判断され、具体的には旅行費用を支給する会社と
    同業種、同規模の他の会社が支給している金額と比較して妥当かどうかで判断されます。
     仮に不相当に高額な旅費を支給していることになると、適正額を超える部分については給与として
    課税され、役員の場合には賞与となり、損金の額に算入されません。
     また、会社の業務出張旅費は実費精算が望ましいのですが、運賃や宿泊費のほか旅行中に要
    する諸雑費も多く、これをすべて個々に精算していたのでは事務が煩雑になるばかりか、旅行費用
    の抑制や旅行者相互間の公平を欠くことにもなります。
     そこで一般的には、旅費規程を設け、飛行距離や旅行者の地位等に応じた一定額を支給し、それ
    が通常必要と認められる範囲内のものであれば、たとえ支給額と実際の支出額との間に過不足が
    生じたとしても、税務上問題とされることはありません。
     出張旅費規程の基準例を掲げると表3、4のようになります。


   【 表1  通勤手当の非課税枠 】
 項 目  非課税となる額 
 ( 1 ) 交通機関又は有料道路を利用する人に支給する
    通勤手当又は通勤用定期乗車券
 1カ月当たりの合理的な
 運賃等の額 ( 上限10万円 )
 ( 2 ) 交通機関又は有料道路を利用する他、交通用具も
    使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券
 1カ月当たりの合理的な
 運賃等の額と ( 3 ) の合計額
 ( 上限10万円 )

 ( 3 ) 自転車や自動車
    などの交通用具を
    使用する人に支給
    する通勤手当
 通勤距離が片道45km以上  24,500円
 運賃相当額が24,500円を超える場合
 はその運賃相当額で、上限10万円
    〃   片道35km以上45km未満  20,900円
 運賃相当額が20,900円を超える場合
 はその運賃相当額で、上限10万円
    〃   片道25km以上35km未満  16,100円
 運賃相当額が16,100円を超える場合
 はその運賃相当額で、上限10万円
    〃   片道15km以上25km未満  11,300円
 運賃相当額が11,300円を超える場合
 はその運賃相当額で、上限10万円
    〃   片道10km以上15km未満  6,500円
    〃   片道 2km以上10km未満  4,100円
    〃   片道 2km未満  0円 ( → 全額課税 )



   【 表2  旅費交通費の隣接科目 ( 例 ) 】
       出 張 目 的              勘 定 科 目  
     @ 業務本来の目的           旅費交通費
     A 交際親睦のため      交際費
     B 研修のため      研修費
     C 福利厚生のため      福利厚生費
     D 観光のため      ( 目的により ) 交際費又は給与
     E 求人のため      従業員募集費
     F 通勤のため      旅費交通費
     G 転勤のため      旅費交通費
     H 個人的理由      給与
     I 取引先招待旅費      ( 内容により ) 会議費又は交際費
     J 消費者招待旅費     ,      広告宣伝費 ( 不特定多数の人が対象 )     ,



   【 表3  出張旅費規程例 ( 日帰り出張 ) 】
    役 員   部 長  副部長 ・ 課長   係長 ・ 主任   他の従業員 
 交通費  新幹線  グリーン車  グリーン車    普通車   普通車   普通車
 在来線  グリーン車  グリーン車    普通車   普通車   普通車
 飛行機  ファースト  ビジネス    エコノミー   エコノミー   エコノミー
 船 舶  1等  1等    2等   2等   2等
 車・バス  実費  実費    実費   実費   実費
  日  当  3,000円  2,500円   2,000円   1,500円  1,000円



   【 表4  出張旅費規程例 ( 宿泊出張 ) 】
    役 員     部 長    副部長 ・ 課長   係長 ・ 主任   他の従業員 
 交通費  新幹線  グリーン車  グリーン車    普通車   普通車   普通車
 在来線   グリーン車  グリーン車    普通車   普通車   普通車
 飛行機  ファースト  ビジネス    エコノミー   エコノミー   エコノミー
 船 舶  1等  1等    2等   2等   2等
 車・バス  実費  実費    実費   実費   実費
  宿 泊 費  15,000円  12,000円   10,000円   8,000円   8,000円
  日   当   4,000円   3,500円    3,000円   2,500円   2,000円





   社内提案制度の報奨金の支給に関する課税関係

    社員から事務の合理化や経費の節約についてアイディアを募集し、効果のあったものに対して、
      報奨金を支給する社内提案制度を考えています。この社内提案制度については、通常の職務の
      範囲外で全社員を対象とし、報奨金を一時に支給することとします。この場合、給与所得として
      課税し源泉徴収する必要はありますか?

    社内で業務上有益な提案などをした社員に対し、社内報奨金を交付する規定がある企業も多い
      と思います。
        社内提案制度等において、事務や作業の合理化、製品の品質の改善や経費の節約など(特許
      や実用新案登録などを受けるには到らないものに限る)に寄与する工夫、考案等をした社員に対し
      て報奨金等の金品が支給される場合には、次のように取り扱われます。

          ( 1 ) その工夫、考案等がその人の通常の職務の範囲内である場合には給与所得
          ( 2 ) 通常の職務の範囲外である場合で、一時に支給されるものは一時所得
          ( 3 ) 通常の職務の範囲外である場合で、その工夫、考案等の実施後の成績等に
             応じ継続的に支給されるものは雑所得

        ご質問の内容から判断すると、上記の ( 2 ) に該当しますので、給与所得としての課税はされ
      ません。なお、 「 通常の職務の範囲内 」 とは、事務の合理化などに寄与する工夫、考案などを
      通常の職務としている人が行う場合をいいます。
        したがって、提案制度が、ある一定の部署に限定されたり、提案が義務付けられ、これに関する
      作業などが勤務時間内でも認められるものであれば、 「 通常の職務の範囲内 」 に該当するおそ
      れがありますので留意が必要です。




   固定資産税の損金算入時期

        固定資産税のような賦課課税方式による租税公課の損金算入時期は、次のいずれかを選択
      することができます。

          1 ) 実際に納付した事業年度
          2 ) 納期の開始日の事業年度
          3 ) 賦課決定のあった事業年度

        このうち、3 ) の方法をとれば、賦課決定があった事業年度に、その事業年度の固定資産税の
      全額を、未払計上により損金算入することができます。
        例えば、4月に納税通知書 ( 賦課決定通知書 ) が到着し、4,7,12月と、翌年2月に分割
      して納付する場合を考えてみます。
        この場合、9月末日決算法人であれば、第3期 ( 納付期限12月末日 ) 及び第4期 ( 納付
      期限翌年2月末日 ) の固定資産税が未納のときに、それを損金経理により未払金に計上する
      ことで、その事業年度の損金の額への算入ができます。



   会社設立時の消費税

        会社に消費税の納税義務があるか否かについては、通常、基準期間 ( 前々事業年度 ) の
      課税売上高が1千万円を超えるか否かで判断します。
        設立1期目の会社については、基準期間が存在しないため、消費税は課税されないことになり
      ます。
        ただし、消費税法では、 「 新設法人 」 の特例があり、 「 新設法人 」 に該当する場合は、1期
      目、2期目の会社でも、消費税の納税義務があります。
        新設法人とは 「 その事業年度の基準期間のない法人のうち、その事業年度開始の日における
      資本又は出資の金額が1千万円以上である法人 」 をいいます。
        したがって、資本金1千万円以上で設立した会社については留意が必要です。


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