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復活した欠損金繰戻還付制度のポイント--21年8月号 -2009年7月15日 

  8月の税務と労務

国 税/7月分源泉所得税の納付       8月10日
国 税/6月決算法人の確定申告
      ( 法人税 ・ 消費税等 )        8月31日

国 税/12月決算法人の中間申告      8月31日
国 税/9月、12月、3月決算法人の消費税等
      の中間申告 ( 年3回の場合 )   8月31日

国 税/個人事業者の消費税等の中間申告 8月31日

地方税/個人事業税第1期分の納付
                  都道府県の条例で定める日
地方税/個人住民税第2期分の納付
                   市町村の条例で定める日


  〜 ワンポイント 〜  FX取引
 外国為替証拠金取引のこと。外国為替 ( 外国通貨 ) の売買により、為替差益や2つの通貨間の金利差
から生じる利益を得るのが投資の目的。少額の証拠金 ( 保証金 ) を担保にして、多額の取引ができること
や、インターネットを利用して手軽にできることから個人投資家に人気がある反面、リスクもあります。



  
復活した欠損金繰戻還付制度のポイント
  青色欠損金については、その事業年度の開始日前1年以内に開始した事業年度 ( 1年決算の場合は
 直前事業年度 ) に欠損金を繰り戻して還付を受ける制度がありますが、この制度は平成4年から適用が
 凍結されていました。
  平成21年度税制改正では、平成21年2月1日以降に終了する事業年度、つまり今年の2月決算法人
 から資本金等が1億円以下の法人などの中小法人等に限って制度が復活しています。


   
『 1 制度創設の趣旨 』
   戦後のシャウプ勧告により設けられた規定で、シャウプ勧告では次のように指摘しています。 「 多くの
  事業は、完全に業務を廃止する直前には多額の欠損の時期があり、かような場合には、税を控除しよう
  にも将来の所得というものがないのである。更に、繰越欠損制度が納税者に与える恩恵は後になって
  からでなくては表れてこないのであって、すでにその時には、欠損の生じた時と比べれば、この制度の
  必要性ははるかに減少してしまっているのである。それ故にわれわれは、欠損の繰戻しを納税者に認
  めるよう勧告する。 」
   これは、現在にも通じる名提言と言えるでしょう。
   しかし、過去に納めた税金を還付する制度は、これを無制限に認めると、国家財政を非常に不安定に
  する危険性もあるため、租税特例措置法により時限的に適用を停止してきました。


   
『 2 復活の背景 』
   現在のわが国の経済状況は、100年に一度といわれる経済危機の影響で、非常に厳しい状況下に
  あり、特に中小企業の資金繰りにおいては顕著に表れていることから復活させたようです。
   一方、大企業については、融資や起債などによる資本増強の手段が多いため、欠損金繰戻し還付
  制度の復活は認めなかったようです。


   
『 3 制度の概要 』
   ( 1 ) 適用対象法人
        適用対象となる法人の条件には、次の2点があります。

        @ 青色申告書を提出する法人であること
           欠損金繰戻し還付制度の適用対象法人は、内国法人で青色申告書を提出する法人に
         限られています。
           ここで注意すべきは、還付所得事業年度(法人税額の生じた事業年度)から欠損事業
         年度まで連続して青色申告書を提出している場合で、欠損事業年度の青色申告書である
         確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り適用されることです。

        A 中小法人等であること
           中小法人等とは、普通法人のうち、期末資本金の額が1億円以下 ( 1億円以下の法人か
         どうかの判断は期末時点で行います。 ) であるものの他、公益法人や協同組合等をいいま
         す。

   ( 2 ) 還付請求金額
        下記算式参照。

      
還付請求金額 = 還付所得事業年度の法人税額
                   ×( 欠損事業年度の欠損金額 / 還付所得事業年度の所得金額 )


      *還付所得事業年度の法人税額は、本税のみが対象であり、延滞税や加算税は含まれません。

        @ 通常の場合の還付請求額
           設例1参照
        A 欠損事業年度の欠損金額が還付所得事業年度の所得金額を超える場合の還付請求額
           算式上の欠損事業年度の欠損金額は、還付所得事業年度の所得金額を超えることは
         できません。つまり算式の分数部分は1を超えることはなく、分母の金額を超える欠損事業
         年度の欠損金額は、青色申告書を提出した事業年度の欠損金として7年間の繰越控除が
         認められます。設例2参照。


  【 設例 1 】
     A株式会社は連続して青色申告書を提出している資本金1,000万円の普通法人 ( 事業年度は
   4月1日から翌年3月31日 ) である。平成21年3月31日決算における欠損金繰戻し還付による還付
   請求金額はいくらになるか。
       @ 平成20年3月期の申告所得金額  10,000,000円
       A 平成21年3月期の欠損金額      8,000,000円
     ( 解答 )
       @ 平成20年3月期の法人税額
           8,000,000円 × 22% = 1,760,000円
           2,000,000円 × 30% =   600,000円
           1,760,000円 + 600,000円 = 2,360,000円
       A 還付請求金額
           2,360,000円 ×( 8,000,000円/10,000,000円 ) = 1,888,000円

  【 設例 2 】
     B株式会社は連続して青色申告書を提出している資本金の額2,000万円の普通法人 ( 事業年度
    は9月1日から翌年8月31日 ) である。平成21年8月31日決算における欠損金繰戻し還付による
   還付請求額はいくらになるか。
       @ 平成20年8月期の申告所得金額  6,000,000円
       A 平成21年8月期の欠損金額     9,000,000円
     ( 解答 )
       @ 平成20年8月期の法人税額
           6,000,000円 × 22% = 1,320,000円
       A 還付請求金額
           1,320,000円 ×( 6,000,000円/6,000,000円 ) = 1,320,000円


   
『 4 還付の手続き 』
   欠損金の繰戻し還付による法人税額の還付を請求する場合には、 「 欠損金の繰戻しによる還付請求
  書 」 を欠損事業年度の確定申告書と同時に、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。



  
賃貸借処理により仕入税額控除をした場合の更正の請求の」可否
   当社は所有権移転外リース取引について賃貸借処理をし、そのリース料について支払うべき日
     の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告を行いました。後日これを売買処理
     とし、引き渡し日の属する課税期間で全額を控除するという更正の請求は認められますか。

   認められません。
      更正の請求は、申告書に記載した課税標準等が法律の規定に従っていなかったことや計算に
     誤りがあった場合に認められるものです。
       よって、賃貸借処理に基づき仕入税額控除をすることは、正しい処理として認められているもの
     であり、その計算に誤りもないことから、それを選択して申告している以上、更正の請求は認められ
     ません。



  
法人成りした場合の一括償却資産の取扱い
   個人事業を廃止して法人成りした際に、一括償却資産を引き継ぎました。この場合、前年までに
     事業所得の計算上必要経費に算入していない未償却残額の取扱いはどうなりますか。

   一括償却資産として計上した資産は、その後の譲渡、除却等に関わらず3年間で均等償却する
     ことになります。
      ただし法人成りした場合には、事業が廃止されてしまいますので、一括償却資産の取得価額の
     うち必要経費に算入していない部分は、すべて事業を廃止した日の属する年分の事業所得の必要
     経費に算入してよいという取扱いになっています。


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