事業用定期借地権の存続期間の拡張
契約期間が満了したら更新されない「定期借地権」の一つである事業用定期借地権の存続期間が改正され、本年1月
から10年以上50年未満(改正前10年以上20年以下)に拡張されています。建物の税法上の減価償却期間には20年
を超えるものが多いことから、これに見合った条件で借地権を設定できるようにしたものです。
不動産を取得するとかかる税金
不動産を取得する時には各種の税金や諸費用がかかり、その額は本体価格の5%から10%程度と言われています。
また、その後も固定資産税等が掛かったり各種の軽減措置もあり、やや複雑です。
そこで、以下ポイントを整理してみます。
T 取得時
1 印紙税
不動産販売会社との売買契約書、建築業者との工事請負契約書、金融機関からローンを借りる時の金銭消費貸借
契約書等に印紙税がかかります。
これらの契約書に、一通ごとに所定の印紙を貼り、原則として印鑑で消印することによって印紙税を納めたことになり
ます。
収入印紙の金額は、契約書の種類や契約書の記載金額により、表1のように決められていますが、景気対策の観念
から、不動産の譲渡に関する契約書及び請負に関する契約書のうち、契約金額が1,000万円を超えるものについては、
表2の特例によります(平成21年3月31日まで)。
表1 不動産譲渡の契約書
契約書の記載金額 |
印紙税額 |
1万円未満 |
非課税 |
1万円以上 10万円以下 |
200円 |
10万円超 50万円以下 |
400円 |
50万円超 100万円以下 |
1,000円 |
100万円超 500万円以下 |
2,000円 |
500万円超 1,000万円以下 |
1万円 |
1,000万円超 5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万円超 1億円以下 |
6万円 |
1億円超 5億円以下 |
10万円 |
( 5億円超略 ) |
|
契約金額の記載のないもの |
200円 |
表2 印紙税率の特例
記載された契約金額 |
印紙税率 |
本則税率 |
軽減税率 |
軽減率 |
1,000万円超 〜 5,000万円以下 |
2万円 |
1万5千円 |
25% |
1,000万円超 〜 1億円以下 |
6万円 |
4万5千円 |
25% |
1億円超 〜 5億円以下 |
10万円 |
8万円 |
20% |
2 登録免許税
不動産の権利を明らかにするために登記の申請を行うと登録免許税が掛かります。税額は、取得した不動産の固定
資産税評価額に表3に掲げる率を乗じた金額で、一定の住宅用家屋については、軽減税率が適用されています。
(注) 建物の所有権登記名義人が共有の場合には、その家屋に居住する者の持分についてのみ軽減されます。
表3 登録免許税の税率
土地 ・ 建物の登録免許税 |
一定の要件に該当する住宅用家屋の軽減税率 |
所有権の移転登記 |
売買 |
2.0%
(土地は1.0%) |
0.3% |
贈与 |
2.0% |
な し |
相続 |
0.4% |
な し |
所有権の保存登記 |
0.4% |
0.15% |
抵当権の設定登記(債権金額に対し) |
0.4% |
0.1% |
≪ 一定の要件に該当する住宅 ≫
(1) 新築住宅の場合
@ 取得者は個人であること
A 登記名義人が自己の住宅の用に供すること
B 家屋の床面積(登記面積)が50u以上であること
C 取得または新築後1年以内に登記を完了すること
D 併用住宅の場合、延べ面積の90%以上が居住部分であること
(2) 中古住宅の場合
前記@〜Cの要件のほか、家屋の取得の日以前20年以内(マンション等の耐火建築物については25年以内)
に建築されたもの又は一定の耐震証明のされたものであることが必要になります
3 不動産取得税 (表4参照)
表4 不動産取得税の概要
課税主体…都道府県、課税客体…不動産の取得、納税義務者…不動産の取得者 |
免 税 点 |
土地 10万円 |
家屋 建築分23万円、その他取得12万円 |
課 税 標 準 |
価格(固定資産課税台帳に登録された固定資産の評価額) |
税 率 |
標準税率 4% |
● 住宅及び土地 3%(平成18年4月1日〜平成21年3月31日) |
● 住宅以外の家屋 3,5%(平成18年4月1日〜平成20年3月31日) |
住宅・住宅用地の特例
一定の床面積、家屋評価額築後年数等の要件を満たす住宅及びその用地 |
住 宅 |
● 課税標準の特例措置 |
新築住宅 → 1,200万円を控除 |
中古住宅 → 住宅の新築時期により最高1,200万円まで控除 |
住宅用地 |
● 税額の減額措置(新築・中古とも) |
1500万円又は建物の床面積の2倍の面積(200u限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額 |
課税標準の特例 |
宅地等土地の取得に係る課税標準としての価格を、評価額の1/2に圧縮
(平成9年1月1日〜平成21年3月31日) |
|
4 消費税
住宅の場合、建物は課税、土地は非課税となりますので、区分と課税が適正か確認が必要です。
U 保有時
1 固定資産税
(1) 納税義務者
毎年1月1日現在に固定資産を所有している人です。したがって、1月2日以降の所有者には、その年度の
納税義務はありません。
(2) 課税標準
原則として固定資産税評価額ですが、住宅用地については1住居当たり200uまでは小規模住宅用地とされ、
評価額の6分の1とされる課税標準の特例があります。
また、土地の評価は3年ごとに「評価替え」を行って見直されていますが、現実には負担調整措置という制度で
前年より税負担が一定割合しか上昇しないようになっているため、本来の課税より低くなっているのが通常です。
(3) 税率
標準税率1.4%(条例による)
(4) 免税点
市区町村内に同一人物が所有するそれぞれの固定資産の課税標準の合計額が次の金額に満たない場合には、
固定資産税はかかりません。
・ 土地 ・・・ 30万円
・ 家屋 ・・・ 20万円
(5) 納期
市町村の条例により異なりますが、原則として次のとおりです。
1期 ・・・ 4月、 2期 ・・・ 7月、 3期 ・・・ 12月、 4期 ・・・ 翌年2月
2 都市計画税
都市計画税は、道路、下水道、公園の整備などの都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てる
ために設けられている目的税です。
税率は、0.3%(上限)ですが、課税の仕方は固定資産税に準じているため、同一の納税通知書で納めるように
なっています。
出向元法人が負担した人件費相当額
当社は先月、子会社を設立いたしましたが、管理部門の人員は当社より出向します。出向者の給与は子会社が
負担し親会社に支払いますが、立ち上がりの業績が安定するまでは管理部門の人件費は当社が全額負担することと
しました。この場合の法人税法上の取扱いを教えてください。
1 出向者の給与
出向者は転籍とは異なり出向元法人との雇用契約が継続しており、出向元法人はその出向者に自社の給与規程
に基づき給与を支払う義務があります。また、出向先法人は、出向者の給与負担金を出向元法人に支払う義務が
あります。その場合、出向先法人の給与規程による給与水準が出向元法人より低い場合、その較差は出向元法人
が負担することとなります。
2 ご質問の場合
ご質問のように出向者の給与全額を出向元法人が負担する場合、合理的な理由がない場合には給与負担金
相当額を贈与したものとみなされます。
合理的な理由として、出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないために出向元法人が
その出向者に対して支給する賞与などがあります。設立当初の会社は業績が安定するまで一定の時間を要します
が、それを業績不振ととらえることはできません。
したがって、出向先の子会社の給与水準に基づく給与負担金を負担しない場合には、親会社が子会社に給与
負担金相当額の贈与をしたものとして寄付金として取り扱われます。親会社の処理は、給与負担金そのものを
寄付金とするのではなく給与負担金をいったん受け入れたあと、すぐに贈与したという処理をし、寄付金と給与負担金
収入を両建経理し、寄付金の損金不算入額を計算することとなります。
被相続人の医療費
父の死亡後に請求された医療費50万円を長男である私が支払いました。これについては、私の所得税の計算上、
医療費控除の対象とすることができますか?
医療費控除は、本人又は本人と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費をその年中に支払った場合に、
その支払った人について認められます。
ですから、被相続人の死亡後に支払われた医療費は、相続税の計算上、被相続人の債務として債務控除の対象と
なりますが、被相続人が支払ったことにはなりませんので、被相続人の準確定申告で医療費控除の対象とはなり
ません。
したがって、ご質問の場合には、医療費を支出すべき事由が生じた時、即ち、被相続人がその医療費の請求の基と
なった治療を受けた時にあなたと同一生計であったならば、支払ったあなたの医療費控除の対象となります。
前払地代の必要経費算入時期
私は開業医(青色申告)で、医院は借地の上に建て、地主に毎年7月末日に1年分の地代を先払いしています。
昨年分までは地代の必要経費算入については期間対応で計上していましたが、本年から支払いの都度必要経費に
算入したい思っていますが認められますか?
各種所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、その年に債務確定しているものですから、その年に
支払った前払費用の額は、その年分の必要経費に算入されません。
しかし、前払費用の額でその支払った日から1年以内に役務の提供を受けるものは、その支払った金額を継続して
支払日の属する年分の必要経費としているときは、それを認めることにしています。
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