マルサ
国税局査察部の隠語。映画「マルサの女」で一般にも知られ渡りました。通常の税務調査が任意であるのに対して、マルサの調査は捜査令状に基づく強制力を持っていることから強制調査と言われています。国税庁によると、査察により判明した脱税額は、平成16年度で282億円にのぼっています。
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相続税等のために土地評価を行う場合に、従来から広大地という取扱いはありましたが、平成16年6月の国税庁の財産評価基本通達改正により、大幅な見直しがされたため、実務においても重大な影響が生じているので、以下ポイントを整理してみます。
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広大地とは
その地域における標準的な宅地の地積に比べて著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第四条第十二項に規定する開発行為(主として建物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更)を行うこととした場合に、公共公益的施設(道路、公園等)用地の負担が必要とされる宅地をいいます。
ただし、大規模工場用地に該当するものと中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除かれています。具体的には、1,000u以上が目安ですが、首都圏では500u以上となっているところも多く、各自治体に確認する必要があります。
広大地の評価方法
原則として、次の区分ごとに次により計算した金額となります。
(1) 路線価地域に所在する場合
算式1て計算した金額
地積と広大地補正率の関係は、図表1のようになり、路線価評価を大幅に下げる結果となります。
なお、広大地補正率は、0.35が下限となっています。
(2) 倍率地に所在する場合
その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1u当たりの価額を正面路線価とみなして、算式2で計算した金額
図表1
広大地の地積 |
広大地補正率 |
広大地補正率の計算過程 |
1,000u |
0.55 |
0.6−0.05×1,000u/1,000u |
2,000u |
0.50 |
0.6−0.05×2,000u/1,000u |
3,000u |
0.45 |
0.6−0.05×3,000u/1,000u |
4,000u |
0.40 |
0.6−0.05×4,000u/1,000u |
5,000u |
0.35 |
0.6−0.05×5,000u/1,000u |
広大地に該当しない土地
国税庁ホームページでは、広大地に該当しない条件の例示として次のものを示しています。
@ 既に開発を了しているマンション・ビル等の敷地用地
A 現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地(例えば大規模店舗、ファミリーレストラン
等)
B 原則として容積率300%以上の地域に所在する土地
C 公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる土地
(例) 道路に面しており、間口が広く、奥行がそれほどではない土地(道路がニ方、三方、四方にある場合も 同様)
広大地の評価方法の変遷
(1) 平成5年12月31日以前
評価対象地が広大地であっても何も評価減の考慮はされなかった。
(2) 平成6年1月1日から平成15年12月31日まで
開発想定図を作成し、開発行為を行うとした場合に必要とされる公共公益的施設用地部分の地積を除外した換価性を有する宅地部分の地積が全体の地積のうちに占める割合(有効宅地化率)を基礎に算定する方式でした。
(3) 平成16年1月1日以降
(2)の方法が専門的な知識を必要とし、難しかったことから、鑑定評価事例を基に、統計学上の処理方法によって、地積との相関関係から算出される割合(広大地補正率)を基礎に算定する方式となりました。
農地、山林、原野への適用
従来の取扱いでは、広大地を「宅地」に限っていましたが、広大市街地農地等を戸建住宅分譲用地として活用する場合には、宅地と同様、道路、公園等のづぶれ地が生じるので評価の明確化の観点から、市街地農地、市街地周辺農地、市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野についても、広大地の要件に該当すれば適用されることになっています。
なお、市街地農地等を広大地して評価する場合には、広大地として評価する場合には、広大地補正率の中に宅地造成費等を考慮してあることから、造成費を別に控除は出来ません。また、市街地周辺農地については、計算した価額の80%に相当する金額で評価されます。
その他
@ 広大地にセットバック部分がある場合には、広大地補正率に折り込み済みとされ、さらなる評価減は行 われません。
A 都市計画道路予定地とやる区域内においては、通常二階建ての建物しか建築できないなどの土地の 利用制限については、別にこうりょすべきものとされ、広大地評価後にさらに評価減が出来ます。
B 広大地の評価が以上のように大変化していますので、広大地が先ずあるかどうかをを調べ、あったら 平成15年までと様変わりしていますので、評価して現状把握に役立ててください。
事業所得や不動産所得の計算における必要経費については、わりと細かく計算される方が多く見受けられますが、居住用不動産の譲渡所得計算における取得費については、簡単に「不明」と判断し、譲渡対価の5%(概算取得費)で申告される方が多いようです。譲渡物件が先祖代々引き継がれているものなら止むを得ませんが、せめて自分で取得した資産については、正しく計算し節税したいものです。
取得費の計算方法は以下のとおりです。
@ 土地は、使用又は期間の経過によってその価値が減少す性格の資産ではないので、その取得に要し た金額は購入金額と下記ア〜オの付随費用等の合計額となります。
ア 購入手数料等
イ その居住用土地の取得のために借り入れた資金の利子のうちその資金の借入れの日からその資産
の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額
ウ 登録免許税、不動産取得税
エ 居住用不動産の取得をする契約を解除して他の居住用不動産を取得することとした場合に支出する
違約金の額のうち土地に係る部分
オ 建物付土地とを取得し、その取得後概ね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、その土地を
利用する目的であることが明らかである場合のその建物の取得価額及び取壊費用
A 建物は土地と異なり、その使用又は期間の経過により減価する資産ですので、その取得費は次のよう に計算します。
建物賃貸借契約の解除等に伴い収受する立退料は、「借家権の譲渡対価」という考え方と「損害賠償金」という考え方があるようです。
消費税法上は、この収受した立退料を借家権の譲渡対価として捉えれば「課税売上」と、また損害賠償金と捉えると「課税対象外取引」となります。
実は大きな問題ですが、消費税法上、立退料は、賃借権の消滅、収益移転費用に対する補償の性格と認め、資産の譲渡等の対価に該当しないものとされています。
ただし、賃借人が賃貸借契約を解除せず、その賃借人が有する賃借権を賃貸人以外の第三者に譲渡した場合には、例えその対価を「立退料」として収受しても、それは費用や損失の補償とはいえず、明らかに借家権の譲渡対価となり課税対象と取り扱われます。
家族が所有している建物でも償却できます!
所得税法では、事業所得や不動産所得の計算上、同一生計親族に支払う家賃や管理費などの経費は、青色事業専従者給与、事業専従者控除を除き、必要経費に算入することはできません。
しかし、その同一生計親族が支払う経費がある場合には、その経費がある場合には、その経費は事業所得等の計算上、必要経費とされます。
たとえば、妻所有の建物で夫が事業をしている場合、妻に対して家賃を支払っても所得税法上、必要経費とは認められませんが、その建物の固定資産税や減価償却費などは夫の事業所得の計算上、必要経費に算入されることとなります。
なお、妻に対して家賃を支払っていなくてもこれらの経費は夫の事業所得の計算上、必要経費に算入されます。
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