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法人成りのメリットとデメリット--16年9月号 -2004年8月31日 
ワンポイント

納税者番号

 個人の所得を把握するための番号。政府税制調査会は、株式や公社債、預貯金等の金融取引に伴う所得を一体で課税する方法を検討していますが、対象となる金融商品間で損益通算するには所得を正確に把握する必要があることから、損益通算を適用したい人に限定した導入が提案されています。


9月の税務と労務

国税 8月分源泉所得税の納付   9月10日

国税 7月決算法人の確定申告   9月30日
   (法人税・消費税等)
国税 1月決算法人の中間申告   9月30日

国税 10月、1月、4月決算法人の 9月30日
   消費税等の中間申告




法人成りのメリットとデメリット

 法人成りとは、個人で行っている事業を法人に移転することですが、メリットとデメリットがあるので、税負担の比較はもちろん、経営の安定化や事業承継への影響等を総合的に判断する必要があります。

★法人成りのメリット★
  
 主に次のものがあげられます。

1 税率構造の違い

 個人事業者の所得がある程度増えてくると、税負担の観点から事業を法人化した方が有利ではないかとかんがえるようになるようです。所得税や法人税の算出過程は複雑で、報酬の取り方や会計処理の方法によっても違ってくるので一概に損益分岐点を示すことはできません。
 まず、個人事業にかかる所得税と法人にかかる法人税の税率を比較してみると下の図表のようになっています。
 個人は、所得が増えれば増えるほど、税率が高くなっていくという超過累進税率になっているのに対し、法人は比例税率(資本金一億円以下は二段階)となっています。
 税率だけを単純に考えると課税総所得金額が1,800万円を超えたら、法人にした法が有利といえますが、これは法人が役員報酬を支払っていない場合の判定です。
 実際の法人では、役員報酬が支払われるので、所得の分散が図れ、ケースによっては、年間利益が500万円程度でも法人成りの効果が生ずることもあるようです。


図表 所得税と法人税の税率比較

・所得税の税率
課税総所得金額 税率
330万円以下の部分 10%
330万円超〜900万円以下の部分 20%
900万円超〜1,800万円以下の部分 30%
1,800万円超の部分 37%


・法人税の税率
所得金額 資本金1億円以下の
  会社の税率
資本金1億円超の
  会社の税率
年所得800万円以下の部分 22% 30%
年所得800万円超の部分 30%





2 元入金制度がない

 個人においては、私的な金銭の出納が店主貸しまたは店主借りとして処理され、その年の12月31日を過ぎてしまうと全て元入金とされ、貸したお金も借りたお金も明確でなくなります。
 しかし、法人においては、元入金制度がないため、貸付金又は借入金として精算するまで残り、利息の処理も行われます。これにより健全でけじめのある経営ができます。


3 事業承継に便利

 個人経営の場合、事業主が亡くなると即相続の問題となるため、個人名義の預金が凍結され、遺産分割までの一定期間、業務に支障を生じることがあります。また、相続人間に争いがあると業務が完全に停止してしまいがちですが、法人だと影響が間接的になり、冷静に対処して、出資持分の相続という形に変えることができます。

4 対外的信用の増大

 一般的に個人事業よりも法人の方が、得意先、仕入先及び新規の取引先開拓の面でも社会的信用は高くなります。事業を拡大させやすく、銀行等の金融機関、都道府県、市町村からの融資も容易になり、経営の安定化が図りやすくなります。

5 退職金

 個人の場合は、事業主はもちろん、事業専従者も退職金の支給は必要経費として認められていません。
 法人の場合には、役員及び従業員に対しては適正な退職金額であれば損金として認められます。
 個人から法人成りをし、長年従事していた従業員を引き続き法人が雇用した場合には、個人の事業を行っていたときに従事していた期間を計算の基礎に含めて退職金の損金算入額を計算することができます。

6 欠損金

 個人の青色申告における欠損金の繰越控除期間は3年間ですが、法人は平成16年度の税制改正で5年間が7年間に延長されています。

7 減価償却

 減価償却において個人事業は強制償却とされていますが、法人は任意償却となっています。これは、法人が赤字のときに償却せず、青色欠損金の切り捨てを防止できる効果があります。


★法人成りのデメリット★

1 交際費

 交際費等について、個人においては事業に必要なものであれば何ら制限がありませんが、法人は資本金額に応じて損金不算入の規定があり、支出する交際費の一部又は全額が損金になりません。

2 設立費用

 法人を設立するには設立登記をしなければならず、そのための定款作成、公証人による認証・登記申請等手間と費用がかかります。

3 維持運営コスト

 個人よりも法人の方が会計処理について厳密性が要求されます。また、事業遂行上の重要な意思決定は常に株主総会や取締役会に委ねられるため、決議内容について議事録を作成する必要があります。
 なお、株式会社の場合には、一定期間ごとに役員及び監査役の改選手続きを行うことも要求されます。



特定附帯設備に対する固定資産税

 家屋の附帯設備のうち、その家屋の所有者以外の者が、事業の用に供するため取り付けたものであり、かつ、その家屋に付合したことによってその家屋の所有者が所有することになったもの(特定附帯設備)については、従来は、家屋の所有者に家屋全体として固定資産税が課税されていましたが、地方税法の改正によって、特定附帯設備を取り付けた者の事業の用に供することができる資産である場合に限り、家屋とは分離して、その特定附帯設備を取り付けた者に固定資産税を課すことができることになりました。この規定は、その旨の条例が定められている場合に限り適用されますので、市町村により取扱いが異なることになります。
 なお、この規定は平成16年4月1日以後取り付けられた特定附帯設備に対する平成17年度分の固定資産税から適用されます。


税金一口メモ

少額減価償却資産

 使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の資産については、少額減価償却資産として、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金の額に算入することができます。
 この取得価額については、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
 なお、少額減価償却資産は、事業に使用した事業年度でその取得価額の全額を損金経理している場合に限り、損金の額に算入することができることとされています。
 したがって、事業に使用した事業年度でいったん資産計上したもまのについては、通常の減価償却資産と同様に減価償却することになりますので、その後の事業年度で一時に損金経理したとしても、減価償却限度額を超える金額は損金の額に算入することはできません。

 
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